テレビ今昔物語⑱
現在の大学教育についての疑問・・・これを「現在の学問自体への疑問」も含めて、記したいと思います。
引き続き、私のエッセーからの引用です。
「・・・ところで、東京大学に限らず、現代の科学者(特に自然科学者)の基本態度は二つございます。一つは「科学とは再現性のあるものだ」ということです。もうひとつは「科学とは社会への有益性に資するものだ」ということです。
それでは、まず前者についてご一緒に考えてみませんか?
世間の勝負事を見てみましょう。すると、将棋の名人にしても、勝率は7割です。10回のうち3度は負けます。大横綱も勝率は8割。10回のうち2回は負けます。プロ野球のバッターはもっとひどくて、名選手でも3割しか成功しないのです。
私が何を申したいかと言いますと、「世の中のほとんどの現象・・・特に人間活動においては、厳密な再現性とは無縁の世界だ」ということでございます。
すると「いや数学はいつも1+1=2」だと言うでしょう。しかし、これはペアノの公理という条件下に初めて成り立つわけであり、現実の世界では、一杯目のビールは二杯目よりもおいしいし、ビタミンAとビタミンCを足せば、1+1=2どころか、1+1=5くらいの相乗効果がございます。逆に、犬猿の仲の二人が一緒に仕事すれば、すべてがぶち壊し・・・かえってマイナスの効果になることもあるでしょう。
また私への反論者は「いや、重力の法則を初め、物理法則はいつも成り立つ」と言うでしょう。ですが、これも大いに疑問です。例えば微細粒子の世界では、「物質の位置、運動量、エネルギー量、時刻」などについては、定まらない・・・つまり再現性は全くないわけでございます。このことはハイゼンベルグの不確定性原理において明確な真理になっているのでございます。また、重力の法則だって、確かにほとんどの場合、「重力の法則は成り立つ」ものの、いろいろな事実を調べると、重力の法則が正確に成り立たない例も、いろいろと報告されております。いや、重力の法則そのものが、アインシュタインの一般相対性理論と整合しないのでございます。さらに申せば、物理学の法則のほとんどは、理想状態における法則なのです。例えば熱力学の法則は、理想気体というものから生まれたものであります。そう。現実の法則とは違うものなのです。それに、そもそも物理学の法則のほとんどは、数学を基礎にして生まれたものであり、数学の「1+1=2」が現実世界で怪しいとすれば、物理学の法則も厳密にはいつでも成り立たないのは当然でございます。
こうしてみると、数学も物理も含めて、世の中には、「間違いなく○○だ」と言うことはひとつも存在しないのでございます」
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